ブログ

資源分別収集と集団回収

資源分別収集の普及によって集団回収は縮小するとみられてきたが、近年の傾向を見るとむしろ拡大傾向にある。前述したように、自治体の分別収集は集団回収を補完する形をとっていたものだが、東京特別区や横浜市などの大都市で古紙の分別収集が始まったことや、容器包装リサイクル法の施行がきっかけとなって、全国的に分別収集の対象品目が拡がり、集団回収と資源分別収集は補完関係から競合する関係になったともいえる。また集団回収は、地域コミュニティの担い手の不足などによって衰退するとみられてきたが、実態はいささか異なるようだ。東京の都心区では、新しいマンションができるたびに集団回収登録団体が増えているし、資源分別収集との相乗効果で回収量が飛躍的に増加した自治体(例えば横浜市では平成17年から古紙を含む資源の分別収集を全市で実施しているが、集団回収の実績を平成17年と21年とで比較すると実施他団体数は3853団体から3961団体に増え、資源の回収量は15万7000トンから18万トンに増加している )もある。一方、集団回収と資源分別収集の役割を見直す動きも出てきている。東京都荒川区では行政による資源分別収集をすべて集団回収に移行し、ペットボトルや白色トレーを含む資源物をリサイクル業者の組合が回収している。行政による分別収集とほとんど形態は変わらないが、実施主体と責任主体が区民、リサイクル業者になったという点では大きな制度変更である。また中野区では、区による古紙の分別収集を廃止し、集団回収に一本化している。古紙や金属くずなど再生資源価格の高騰が背景のひとつだが、市民の環境に対する意識の変化、コミュニティへの参加・協働意識の高まりなども大きな要因である。このような形の集団回収は、実施団体が任意で行うものとは異なり、民間の活動でありながらあたかも行政サービスの一部のように位置付けられている点で、従来型とは大きな相違がある。このような、集団回収と資源分別収集のハイブリッド型ともいえる方式として「平塚方式」がある。平塚市の分別区分は、可燃ごみ、不燃ごみ、資源再生物、有害ごみで、資源再生物のうち、ペットボトル、その他プラスチックは市が収集するが、その他の再生資源物(古紙、布類、金属類、びん類、天ぷら油)は資源回収組合が収集・資源化処理を行っている。市は業者に対する交付金のほか、実施団体に5.5 円/kgの報奨金を支払っている。この方式のベースは集団回収で、集団回収を自治会単位に再編し、定日定時に排出するようにルールを定め、回収業者が集めた資源の売却益は業者に帰属し、市民には一定の報奨金を支払うという形だ。つまり集団回収をごみの分別収集体系の中に組み込んでしまった形といえる。平塚市ではこれを「三者協調方式」と呼んでいる。

関連記事

ページ上部へ戻る