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リサイクル新法と拡大生産者責任

「循環型社会形成推進基本法」(循環社会法)が制定され、新法・改正法を含めてリサイクル関連法は8つにも増えました。こうした法制度整備の中で徐々に具体化されつつある考え方が「拡大生産者責任」です。「循環社会法」のなかではその一般的な考え方が示され、「資源有効利用法」(改正リサイクル法)では使用済み製品の事業者回収の規定が設けられています。廃棄物対策は「発生する廃棄物をいかに処理するか」という点に重点がおかれてきました。川の流れにたとえると、川下での対策ということになります。焼却施設や埋立処分場を次々整備しても、川上から流れてくるものを制限しなければ問題は解決しません。すなわちモノの製造段階までさかのぼった対策を講じていく必要があります。使い捨てを減らして長持ちする製品、リサイクルしやすい製品、ごみになりにくい製品を増やし、自治体任せの処理ではなく市場の経済活動の中で再使用(リユース)や再生利用(リサイクル)の輪が回っていくようにする必要があります。そのためにはモノをつくる企業に、一定の責任を負わせる必要があります。このような考え方を「拡大生産者責任」といいます。これまでは、製品の性能や安全性などについて製造事業者の責任が拡大されてきました。製品に欠陥があって事故が起こった場合、かつては消費者がその製品の欠陥を立証しなければ事業者の責任は問われませんでした。これに対して、欠陥がなかったということを事業者自身が立証できないかぎり、事業者に責任があるとされるようになりました。この考え方は「製造物責任」と呼ばれます。製品に対して事業者の責任は格段に大きくなったわけですが、拡大生産者責任というのは製品が廃棄物になったあとまで事業者になんらかの責任を負わせようという考え方です。このような考え方をもっとも早く打ち出したのはドイツだといわれています。ドイツの容器包装政令は、容器包装を使用する事業者に対して容器包装を自ら回収し、リサイクルすることを義務づけました。日本では容器包装の分別収集を自治体が行っていますが、ドイツではDSDという会社が行っています。このDSD社は事業者団体などが設立したリサイクル会社で、回収やリサイクルの費用は容器包装を使用する事業者が支払います。事業者が負担した費用は、最終的に価格に上乗せされて消費者が負担するという仕組みになっています。この制度の対象となっている容器包装にはマークが付いており、事業者はマークの使用料を払う形で費用負担をしています。マークの付いた製品にはリサイクル費用が含まれているため、DSDの行う分別収集に出すことができるというわけです。わが国では容器包装リサイクル法や家電リサイクル法が、拡大生産者責任を適用した例だと説明されますが、ご承知のように容器包装リサイクル法では事業者の責任はきわめて限定的です。家電リサイクル法は販売店の引き取りと製造事業者に適切なリサイクルを義務づけていますが、処理費用を後払いするという方式であることや買い換えやその店で買ったものしか引取ってもらえない等、消費者にとっては不満が残る内容になっています。

 

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