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タイ・バンコクの廃棄物の現状

アジアを中心とした急激な経済発展は,物質的な豊かさをもたらす一方で,深刻な廃棄物問題を引き起こしている。今回は,アジアで中国に次ぐ経済成長を遂げているタイのバンコクを訪れる機会を得たことから,現地のごみ発生および回収の様子を解説します。タイはインドシナ半島のほぼ中央に位置し,人口約6,200万人,日本の約1.4倍の国土を持ち,雨季(6月~10月)と乾季(涼季11月~2月,暑季3月~5月)がある熱帯モンスーン気候に属している。近年は,工業化が進み,2000年以降毎年5%前後の経済成長率を遂げている。しかしながら,現在も労働力の約4割は第一次産業に従事し,2003年の穀物自給率は162%とアジアでは最も高く,世界でも6番目の穀物自給率を維持している。経済発展が進む中で,廃棄物に目を向けてみよう。World Bank(2003)によれば,2002年に約2,164万トンの廃棄物が発生している。その内訳を表1に示すが,最も多いのが都市一般固形廃棄物で全体の約66%を占めている。次いで,非有害産業廃棄物が約27%になっている。都市から排出する廃棄物が多い点から,首都バンコクのごみの状況を見てみる。バンコクは全人口の約13%に相当する800万人(登録人口)が居住している。バンコクのごみの48.8%はOrganic Waste(有機性廃棄物),38.0%がRecyclable Material(リサイクル可能な廃棄物),13.2%がNon-Recyclable Material(リサイクル不可能な廃棄物)であり,有機性廃棄物の大半は生ごみである。また,リサイクル可能な廃棄物でも全てがリサイクルされているわけではない。参考までに,バンコクを含む周辺地域の都市廃棄物を見ると,廃棄物全体の42%がガラス,プラスチック,紙,金属といったリサイクル可能な廃棄物である。しかし,このうち商品価値がある35%の廃棄物のうち,実際にリサイクルされているのは15%しかなく,毎年450トン,商品価値にして160億バーツ(約500億円)の潜在的なリサイクル可能な廃棄物が処分されていると推定されている。

 

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