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分別の困難性

プラスチックも、金属やガラス類などと同様に再生が可能である。しかし、プラスチックの場合には、種類の多さがその処理困難性を高めている。また、金属やガラスに比べて、 現状では処理にかかるコストも高く、再生品化による劣化の度合いも高い。 プラスチック廃棄物処理の場合は、産業系よりも家庭系の方が、処理困難度は高い。産業系の廃プラスチックの場合、同材質のものを一定量集めることが比較的容易であるが、家庭系廃プラスチックの場合、種々雑多な材質のものが混ざる可能性が高く、食物残渣な どの異物とともに集められた場合には、再生はほぼ不可能である。 事実、プラスチックの分別は非常に難しい。PET ボトル 1 つとってみても、ボトル本体 とキャップとラベルはすべて材質が異なる。 かつては、アメリカの基準にならって、プラスチックの材質を 7 種に分別するというこ とも検討され、一時期、業界の自主的な取り組みとして、一部の商品に表示が付されたこ ともあった7。確かに材質別にプラスチックを分別すれば、それだけリサイクルの可能性も 高まる。しかしながら、家庭での保管など、7 種もの分別は消費者の負担が大きく、また、 現在では、PET ボトル以外のプラスチックは製造業者が自主的に表示するもので、すべて のプラスチック製品につけられるわけではないため、表示されたもの以外のプラスチック については、一般の人に正確に分別を要求するのは不可能に近い。 容器包装リサイクル法では、容器包装に利用されたプラスチック廃棄物のリサイクルを 目指して、PET ボトルとプラスチック容器包装について分別することを義務付けた。これ は、PET ボトル以外のプラスチックはすべて同じものとして扱うということを意味する。 容器包装リサイクル法においては、プラスチックの細密な分別を消費者に要求することを断念したといえる。これは、やはり見た目だけでは明確に判断ができないプラスチックの 分別困難性によるものというべきであろう。 分別収集されたごみがすべて指定法人にいっているわけではないということを指摘しておきたい。環境省が毎年まとめている数値を見ると、分別を行っている自治体の数と指定法人に処理を委託した自治体の数には若干の差がある。これは、分別を行いながらも、別のルートで処理を行っている自治体があるということを示している。一部の自治体は独自に再商品化のルートを確立しているのだろうが、それ以外の自治体では別の方法による処理が行われているものと考えられる。分別収集の高コストに耐えられない自治体が、焼却などの手段に方法を変えていくということも考えられなくはない。こうした事態が起こらないようにするためには、負担の見直 しが必要となるだろう。

 

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