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スウェーデンのごみ分別

新年明けましておめでとうござおます。今年もよろしくお願いいたします。廃棄物処理は持続可能な社会のあり方を考えるにあたっての主要な問題領域のひとつである。廃棄物の環境上適正な処理、資源再利用・再生といった観点に加えて、生ごみのバイオガス化に代表されるように、廃棄物は都市交通や冷暖房のエネルギー源としても活用可能であり、持続可能な都市システムのインフラの重要な一要素としても位置づけられ。家庭ごみは一般廃棄物総量の7 割を占め(『環境白書』平成24 年版)、資源再利用やごみ処理の負荷低減のために、家庭ごみの分別リサイクル促進は大きな意味をもつ。しかし、再利用・再資源化を考慮した時に、家庭ごみは一般に事業系ごみと比べて異物混入率が高く質が低いという欠点がある。分別の目的や意義、方法について適切に理解されていなければ、家庭内での分別排出は適切に行われず、結果として、効果的に活用し難い現状である。このような難点からか、日本の家庭ごみのリサイクル率はおよそ20%(環境省『日本の廃棄物処理平成21 年度版』)と、産業廃棄物に比べれば格段に低い状況である。スウェーデンの場合、家庭ごみの47.3%がマテリアル再生もしくは生物処理(スウェーデン廃棄物協会『スウェーデンの廃棄物管理2012 年版』)にまわされている。このような高いリサイクル率の背景として、住民の分別排出における利便性を高める施策がサービス提供の他に住環境計画にも表れていることは注目に値しよう。スウェーデンは環境先進国として知られる。木質バイオマス発電や風力発電などの再生可能なエネルギーの利用率は高く、建築の環境性能の面でも進んでいる。家庭からの生ごみ収集率も高くコンポストだけでなくバイオガス化されバスやトラックなどにも利用されている。このような循環型社会形成に向けた先進的な取組みの数々は、都市計画といった政策レベル、省エネ建築等の技術的レベルだけでなく、自治体レベルで住民生活に密着した環境への取り組みにも支えられていると、筆者らは考えている。スウェーデンでこうした先進的な取り組みに成功事例が多いのは、国民の理解・意識が高いためだとしばしば捉えられている。しかし、冒頭で述べたように、筆者らが現地に居住して調査・情報収集を行った実感としては、個々人が日常生活の中で大きな負担を感じることなく生活スタイルを持続可能な形に適合できるように、環境やサービスが設計されていることによる面も大きいのではないかと考えられるのである。

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