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ごみのリサイクル率・・・2

焼却処理に伴う熱回収・利用はサーマルリサイクルと呼ばれ、一般的にはリサイクルのひとつとして位置づけられるのですが、実は図2に示したリサイクル量には反映されません。環境省が定義するリサイクル率に焼却処理が貢献するとすれば、図2の中間処理後リサイクル量です。ごみを焼却処理すると、処理残渣として焼却灰が発生します。焼却施設によっては溶融施設を併設して焼却灰を1,200℃以上の高温で溶かし、冷却して溶融スラグと呼ばれる固化物を生成して土木資材としてリサイクルされている例もあります。また、ある地域では焼却灰をセメントの原料としてリサイクルしています。このように溶融スラグの土木資材利用や焼却灰のセメント原料化といった、廃棄物を別の用途に原材料として利用することをマテリアルリサイクルと呼び、環境省の統計ではリサイクル量としてカウントされています。つまり、ここで言うリサイクル量(率)とは、マテリアルリサイクルされる量(率)のことで、サーマルリサイクルされる量(率)のことではないのです。今後、電力自由化の動きや再生可能エネルギーの固定価格買取制度などを背景として、技術の高度化や広域化・集約化による施設規模の拡大により、熱回収効率も高まることから、将来的にサーマルリサイクル率は一層増加する可能性があります。しかし一方で、熱回収の重視やコスト低減の観点から溶融施設の設置を見送るケースが多くなっていることから、焼却処理に関するマテリアルリサイクル率の増加はあまり見込めません。その他の中間処理におけるリサイクルに関しても必ずしもリサイクル量(率)に反映できていない部分があります。例えば、メタン化という中間処理では、食べ残しや調理くずといった腐敗しやすい生ごみなどを嫌気状態で発酵させ、発生したメタンガスを回収して発電したり、そのまま都市ガス代替として利用することにより、サーマルリサイクルが行われています。メタン化では処理残渣として排液が発生しますが、それを液体肥料(液肥)として農業利用する場合はその利用量がリサイクル量とみなされます。ところが、排液を処理して下水道あるいは河川に放流する場合、リサイクル量はゼロとなります。環境省が定義するリサイクル率とはあくまでマテリアルリサイクルを対象とした評価指標であり、サーマルリサイクル(熱回収・利用)といったリサイクルについても評価に組み込む必要があります。また、古紙などは自治体が収集するルートとは別に、業者が独自に回収する(自治体の委託収集ではない)事例も多く、自治体が収集しない場合は排出量及びリサイクル量に反映されません。ペットボトルなどのスーパーなどでの拠点回収も同様で、こういった家庭などから排出されながらも排出量及びリサイクル量に反映されないごみ量も少なくありません。排出量及びリサイクル量は、あくまでも自治体が収集するごみに限定されているのです。個別リサイクル法によっても排出量及びリサイクル量に反映されるものとされないものがあります。例えば、容器包装リサイクル法で対象となる容器包装ごみは自治体が収集することになっていますが、家電リサイクル法で対象となっている廃家電製品は小売業者が引き取ることになっており、排出量及びリサイクル量には反映されません。時代とともに、リサイクル率の分母と分子が変化しているのが実情です。

 

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