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日本の廃棄物問題

日本は,戦後,社会・経済活動を通じた著しい経済発展を経験するとともに,多くの環境問題も 経験し,それに対処してきた。例えば,四大公害(水俣病・第2水俣病・四日市ぜんそく・イタイ イタイ病)に代表される高度経済成長期の環境問題では,企業の経済活動の結果生じた有害物質が 水質・大気汚染を引き起こし,それが近隣住民に健康被害を与えた。しかし,いわゆる公害裁判を 経て,原告(被害者)側が勝利し,加害企業の過失が認められた。そして,昭和48年の「公害健康 被害の補償等に関する法律」に基づいて,企業・国・自治体は被害者に対する補償などを行ってき た。現在でも,汚染が完全に除去され,被害者に対する完全な補償がなされているとは必ずしも言 えないが,同じような問題が現在でも生じることは無いと考えられる。 一方で,人々の生活に密接であり,今でも依然として日本の環境問題に貢献し続けているものと して,廃棄物に係る問題(以下,廃棄物問題)が挙げられる。本来,廃棄物は人々の生活とは不可 避のものであり,様々な社会・経済活動を通じて発生するものである。そして廃棄物はそのまま何 も処理せずに放置しておくと,悪臭,水質汚染や土壌汚染など何らかの環境問題を引き起こしてし まうものでもある。これらの環境問題を回避するためには,人々の力だけではなく,国や自治体な どによる対処が求められる。実際,過去から現在にかけて,廃棄物問題に対処するために,国は廃 棄物に係る法律を制定し,廃棄物処理制度を整備してきた。しかし,廃棄物に係る法制度の整備は 新たな廃棄物問題を生み出し,また新たな廃棄物問題は更なる廃棄物に係る法律の制定を促してお り,依然として廃棄物問題に対する完全な解決策を得ることは出来ていないようである。そのため, 廃棄物問題は様々な環境問題の中でも,昔から人々の関心を集めてきた。また,公共政策の観点か らも,廃棄物問題を解決する方法を探ることは現在でも重要な課題であり続けている。

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