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家庭はごみフローの主人公

エンジンや工場と同じように、家庭も、モノやエネルギーの消費によって成り立っ ています。たとえば、野菜、肉などの食材を購入し、調理・加工して食べます。そし て、生ごみを排出します。その他、家具、家電製品、新聞・雑誌・本など、様々なモ ノを購入し、消費し、ごみを出しています。このような家庭のマテリアル・フローが、 私たちの生活を成り立たせているのです。いわば、家庭は生活のための工場であり、 この生活工場の管理が、家庭における最も基本的な仕事です。そして、家庭における モノとエネルギーの流れを適切に管理することが、私たちの役目ではないでしょうか。家庭のフローについては、あまりデータがありません。そこで、私は、1ヶ月間(1 996年10月)、毎日、はかりを片手にして、家の中をうろつきまわって、家庭(5 人家族+犬1匹)の中へどれだけのモノが入り、どれだけのモノが出ていったかを調べ てみました。1か月の間に家庭へ入ったモノ(水を除く)の総重量は196.3㎏、 出ていったモノ(ごみ)の総重量は61.3㎏です。ごみのうち、36.4㎏が自治体 の収集へまわした分、9.0㎏は、新聞、雑誌等を資源ゴミとして廃品回収に出した分、 残りの15.9㎏の大半はコンポスト化した台所ごみです。台所ごみが比較的少ないの は、魚の骨や食べ残しなどを全部、愛犬が引き受けてくれたからです。インプットさ れた水は192㎏(?)、それらはすべて雑排水、尿、汗として排出されました。ま た、インプットされたモノ196.3㎏のうち、59.6㎏がストックされました。そ の内訳は、耐久消費財、書籍、日用品です。これらは早いもので数か月、遅くても数 年後には廃棄物として家庭から排出されます。なお、耐久消費財のうち、非常に大型 のもの、高価なものは、1か月間の計量にはかかりません。特に、自動車と家屋が大 物です。自動車の重量1200㎏、耐用年数を10年とすれば、1200÷10÷1 2=10㎏が、1か月当りの排出量となります。さらに、100トンの家に40年間 住むとすれば、1か月当り70㎏の廃棄物を出していることになります。もし、車や 家の使用期間を倍にすれば、1か月当りの廃棄物量は、それぞれ、5㎏、35.5㎏と 半減します。このように、モノを長く使えば使うほど、発生するごみの量(時間当た り)は減少します。  現在、日本では、種々のリサイクル法が施行され、ごみの発生は抑制されつつあり ます。しかし、これらの法律は、一般に寿命が長いモノに適用されています。日常生 活で消費されるモノの多くは寿命が短かく、再利用、再生は困難なことが多いのです。 また、家庭からは、実に多種多様なごみが排出されることも、再利用、再生を難しくしています。

 

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