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廃棄物の回収問題

なぜ,リサイクル可能な廃棄物が利用されないのか,まずは回収の状況を見ると,回収量の70%以上が正規の回収ルートではないと推定されている(Fig1)。これらは大きく3つのグループに分類でき,最も大きいのが三輪車で廃棄物を集める回収者(Sa leng)である。さらに,Municipal collectorsは正規の回収者ではあるが,回収を行いつつ,リサイクル可能で商品価値のある廃棄物を取り出して販売することで,自身の収入を補填しているケースである。3つ目にはWaste pickersやScavengerである。Waste PickersあるいはScavengerとは,ごみの中から有価物を回収し,それを売って生計を立てているもので,家庭や店舗,路上からも回収するが,ほとんどは埋立地周辺,あるいは埋立地の中に居住し,埋立地から有価物を回収している。参考までにGarcia(2001)によれば,Waste Pickersはボンベイ(インド)で35,000人,バンガロア(インド)で25,000人,カラチ(パキスタン)20,000人,上海(中国)で10,000人,等の報告がある。また,このような非正規の回収者によるごみ減量への寄与として,数%から10数%の寄与があるとしている。都市内部に多数の回収者が存在するにも関わらずリサイクル率が低い理由はなぜだろうか。ジャロッシ(2004)の調査によれば,ごみを出す側の問題として,分別意識がない,分別すればScavengerが買ってくれるが,価格が不当であったり,いつ回収に来るかわからないのでそのまま廃棄する,等の調査結果が示されている。一方,集める側の問題としては,行政区へのアンケート調査を元に回収システムが経済的に破綻していると指摘している。ヒアリング結果から,バンコクのごみ発生量が1日6,572トンと推定されているのに対して,回収している量が6,120トンしかない。つまり,差の450トン,全体の6%にあたるごみは未回収になっている。回収できない理由は,回収車の燃料費の予算制約があり,ガソリン価格の高騰によって,燃料が補給できないといった点や回収トラックの配備などの問題によって,回収を飛ばしたリ,遅れることが常態化している,等の点を明らかにしている。予算制約の背後には,ごみ徴収費の未納問題もある。1970年代,市民が負担するごみ回収費用は月4バーツだったが,2003年には40バーツに引き上げられた。その結果,費用の徴収率が一気に低下した。現在は20バーツまで引き下げられているが,引き上げによる影響が続き,現在も徴収率は低いとのことである。

 

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